12: ◆hQrgpWdMp.[saga]
2018/05/15(火) 21:52:42.44 ID:TeqkJU5v0
「今でもずっと、憧れだよ」
「……えっ?」
震えていた体を優しく包み込む柔らかな感触に我に返れば、いつの間にか近づいていたジータがリーシャを抱きしめていた。
「どう、して……」
「私は確かにお姉ちゃんの強さに憧れた。でも、それは剣とか魔法の力じゃない。心の強さだよ」
「心の強さ? 私は強くなんかない! 怖がって、貴女に本当の名前すら教えることができなかった臆病者!」
「そうかもしれない。でも、臆病だけど頑張って来た」
「あっ……」
――お姉ちゃんはとっても頑張り屋さんなんだね。
あの日、リーシャの心を強く震わせた少女の言葉。それは魔物を倒した剣の強さをほめるものではなく、強くなるまで努力を続けて来たことをほめるものだった。
「お姉ちゃんがあれからも、今もずっと努力し続けてることわかってるよ。あんなになっちゃうくらい追い詰められて、それでもめげずに努力を続けて」
「変わってないよ。あの頃のまま。怖がり屋さんで頑張り屋さんな私の憧れのお姉ちゃんだよ」
「うぅ……あぁぁ……」
ジータの優しい声にリーシャはつい耐え切れずに泣き出してしまった。あの日と同じように。
「よしよし、お姉ちゃんはよく頑張ったよ〜」
しがみつくように抱きしめて来るリーシャを、ジータもあの日と同じように抱きしめて頭をなでる。
「ごめんなさい……ごめん、なさい……!」
「いいの。もう、いいから……」
泣きながら謝るリーシャをあやすように、ジータは優しい声でそう言いながらリーシャの頭に頬を寄せ優しくなで続けた。
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