4: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:06:35.76 ID:mU5Tr8vd0
それでも最近、気付いたんです。
どうしてあの時、ナナは諦めなかったのか。諦められなかったのか。諦めずにいられたのか。
デビューしてからもずっとずっと、ただ必死で、せっかく掴みとれた夢が覚めてしまうんじゃないかって不安で、がむしゃらに頑張っていたんです。
よく、プロデューサーさんにも相談させてもらいましたね……
5: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:07:23.52 ID:mU5Tr8vd0
あの頃の努力は、ぜんぶ今日この日のために……なんて言ってしまえるなら簡単なんですけど、でも……でも、そんなにきれいな理由じゃなかったんです、きっと。
ナナは……私は、諦められなかったから、諦められなくなったんです。
アイドルになって、ちっちゃなころに見たアニメみたいに、みんなに元気をあげられるようになりたい。それが、ずっと夢だったんです。そのためだけに、ずっと生きていたんです。
6: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:08:15.15 ID:mU5Tr8vd0
でも、私にはできなかった。
アイドルになるっていう夢を諦める勇気が私には無かったんです。
逃げ出してしまうには、その夢は私一人で背負いきれる重さではなくなってしまっていて。
7: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:09:30.11 ID:mU5Tr8vd0
夢を忘れてしまった訳ではありませんでした。
ただ……時が経つほどに、立ち上がって顔を上げることも、辛くなっていきました。
耐えきれなくなって、でも下ろしてしまうこともできなくて、動けないまま押しつぶされてしまいそうになった、その時だったんです。
プロデューサーさん。
8: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:10:04.23 ID:mU5Tr8vd0
今にして思えば……あの頃の夢の重さは、決して無意味なものじゃなかったんです。
逃げられなかったから、私は逃げ出さずにすみました。歯をくいしばって、涙で枕を濡らす日があっても、このステージに留まり続けられたのは、アイドルになるんだって、思い続けていたからなんですよね。
だから今、昔の私に声をかけられるなら、大丈夫だよって、ありがとうって、伝えてあげたいです。
だって、そのおかげで、私はプロデューサーさんに会えたんですから。
9: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:10:43.27 ID:mU5Tr8vd0
ああもう、ダメですね、やっぱり涙脆くって。
もう、全然、前、見えてないです。
10: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:11:44.38 ID:mU5Tr8vd0
よかった……
よかったよぉ…………
11: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:12:15.29 ID:mU5Tr8vd0
……………
…………
12: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:12:56.00 ID:mU5Tr8vd0
ありがとう、ございました。
……もう、大丈夫です。
でも、最後に一つだけ、ワガママを言ってもいいですか?
靴を、履かせてほしいんです。
13: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/15(火) 00:14:22.65 ID:mU5Tr8vd0
……似合い、ますか?
ありがとうございます……!
……いえ、ここでよかったんです。
キレイなお城の舞踏会じゃあないですけど、ここが、このライブハウスが、私の……ウサミンにとっての、大切な大切な、シンデレラ城なんです。
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