【バンドリ】湊友希那「バンドやらない?」美竹蘭「……は?」
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6:名無しNIPPER[sage]
2018/05/14(月) 08:47:50.39 ID:EZCEfSpa0

蘭(……変わっていく。季節も、街も、流行りの歌も)

蘭(みんなも大人になっていく。私はそれに取り残されているんじゃないか。そんな気持ちになって、どうしようもなく落ち着かない)

蘭(『いつも通り』)

蘭(あたしたちの『いつも通り』が永遠に続けばいいのに)

蘭(冬を越してカレンダーをめくるたびにあたしはそう思って、でも季節は次々に過ぎていって、あたしはまた1つ歳を重ねた)

蘭(中身は大人になんて一向にならないのに、ただの子供のままであるのに、世間からはまた1つ大人になったんだと決めつけられるんだ)

蘭(気付けばもう結婚だって出来る歳で、あと3年経てばお酒も飲めるようになる)

蘭(でも……あたしはいつまでも寂しがりを抱えた14歳のままだ)

蘭(そして14歳の小さな心が大きくなる身体とどんどん乖離していく)

蘭(その心と身体の隙間を吹きぬける春の風に、行き場のない寂寥感と焦燥感が煽られる。まるで世界に独りぼっちでいるみたいな気持ちになる)

蘭(あたしは……どこか空っぽだ)

――キーンコーンカーンコーン

蘭「……なんて、何考えてんだろ」

蘭(チャイムの音であたしは現実に引き戻される。いささか自嘲的すぎる思考に苦笑いが浮かぶ)

蘭(少し頭を振ってセンチメンタルな物思いを頭から追い出した。それから先ほどの湊さんの誘いについて考える)

蘭「向き合うことでしか伝えられないこと……ね」

蘭(ずいぶんと詩的な言葉を吐くものだ、と胸中で悪態をついて、それから自分も人のことを言えたものじゃないかと思い直す)

蘭(確かにアフターグロウのみんなとはずっと同じ方向を向いていた。何度か喧嘩をすることはあったけど、ステージでは常に同じ方を見て、肩を並べて進んでいた)

蘭(でもそれだけでお互いのことは分かり合えているはずだし、今さら改めて向き合うことなどあるだろうか)

蘭(そう考えているうちに次の授業の担当教師が教室にやってきた。日直の生真面目な号令が響く。それを合図に退屈な授業が始まりを告げる)

蘭(教科書の92ページを開いてください、という声。紙と紙の擦れる音。クラスメイトのささめき合い)

蘭(全ての雑音が窓の外を眺めるあたしの耳を通り抜けていく)

蘭(湊さんからの誘いについて考えようとしていたけど、気付けばさっき追い出したはずのセンチメンタルな物思いが脳内で何度も反芻されていた。急かされるようにそれの置き場所がないかと探してしまっている)

蘭(薄いガラスを隔てて眼前に広がる空。あのどこかにこの気持ちを置いておけないだろうか)

蘭(そんな現実逃避をするけど、空はただ青々としているだけで、まだまだ夕景にはほど遠い)

蘭(ふと浮かんだその思考が胸につっかえ、あたしの心は浮つくばかりだった)


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