10:名無しNIPPER
2018/05/12(土) 21:58:58.14 ID:RrOmRxVI0
「なるほど、それであの叫び声だったのね」
「はい……さすがに無理難題が過ぎたかと……」
先程の出来事を思い出しつつ、奏さんに説明していました。
レッスン後やお仕事の合間等、日課とまではいかずともこうして二人でお話をする機会が増えました。
事務所の中でも彼女に一目置くという人は多く、ありすちゃんが目標にしている一人でもあります。
私にとってもそれは同じ事で、奏さんは私にはない輝きを持っている方だと思います。
きらびやかで年齢以上に大人びた独特の雰囲気を纏っていて、最近またOLさんと間違われたそうです。
頭の回転も早いようで、時偶見せる婉曲的で詩的な言葉にも感心させられます。
また、志希さんや周子さん達すらを纏め上げるリーダーシップも私とは大きく異なる点でしょう。
それでも奏さんはご自身のことを年相応の女子高生だと表現しています。
OLさんに間違われることを少し気にしていたり、普段着は寒色が多くても持っている小物は桃色だったりするのもその一部なのでしょうか。
それとも、まだまだ私の知らない一面があるのでしょうか?
こうしてお話することは、まだ見ぬ書物を1ページずつめくっているかのように思え、奏さんとお話する時の定位置となったこの場所も、私の中で以前とは違うものとなっていきました。
このような暑い日には本来ならば冷房を効かせるのでしょうが、あえてそうせずにいるのは、きっとその方が綺麗だから。
「でも、自由研究か……なんだか懐かしいわね」
奏さんがふと外を眺めました。
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