21: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 01:56:40.54 ID:aw+Q2owr0
「ふぅ……ありがとうねぇ。助かったわぁ」
「いえいえー。お役に立てて、よかったでございますです」
おうちまでお荷物を届けたところ、なんとお礼に麦茶とおせんべいを頂きました。
これもお恵み。半分を取っておいて、ありがたくご馳走になったのです。
お婆様は、何故か申し訳なさそうなお顔をしていらっしゃいました。
「……ごめんなさいねぇ。私達、ライラちゃんのことを誤解してたのね」
ささやかな街でございますから、お化け屋敷の住人のことは誰にでも知れ渡っていましょう。
ですが、それで腹を立てる筋合いもありますまい。
「うちは昔からやっているお店が多いから、いつどこで何があったかもよく知っていてねぇ。
よそから来た人にも、冷たくしちゃうことがあるのよ……。
いけないことだとはわかってるけど、やっぱりねぇ、年寄りは頭が硬くって」
「よいのですよー。家族の皆さんに一番優しくするのは、悪いことではございませんです」
お婆様は、何か眩しいものを見るような、どこか不思議そうな目をなさいました。
66Res/39.94 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20