遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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135: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/02/26(火) 22:34:40.53 ID:Bg4X09fI0
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「カクテルってのはねえ、組み合わせによって無限の広がりをもつものなの」


逆三角形のグラスには、店のランプのせいだろうか少し赤みがかった琥珀色の液体で満たされている。
魔法薬だと言われれば信じてしまいそうな色彩だ。
酒の中でプカプカ浮いたり沈んだりを繰り返しているチェリーも、見ようによってはホルマリン漬けされた実験体みたいだ。


「まあ、論より証拠よ。飲んでみたら」


気づくと、俺の前にもすでにグラスが置かれている。
パッと見たところ、ただのオレンジジュースに見えるが、これが本当に酒なのだろうか。
幸いなことに、その疑いはたったの一口で晴らされた。

強いアルコールがガツンと脳を揺らす。これをジュースと呼ぶ奴がいたら、そいつは間違いなく素面ではないだろう。
オレンジジュースと何かしらの蒸留酒が混ぜてあるのだろう。慣れ親しんだ酸味が、その飲みやすさを助長している。


「うまい」


なにより飲みやすい。俺は、初めて酒を飲んだ日の事を思い出す。
ビールも、ワインもどちらの初めても最初の一口は、まるで異物を体内に取り込んだかのような拒絶反応が起きた。
胃が逆流してくるような強烈な嫌悪感に襲われた。

しかし、この飲み物はすんなりと喉を通る。体が何の拒絶を起こすことなく受け入れている。
起きるものといえば、せいぜいが清涼感ぐらいのものだ。
気づけば俺のグラスは既に空になってしまっていた。


「お気に召しましたか?」


答えは聞くまでもないという表情でマスターがニヤニヤ笑っている。


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