9:名無しNIPPER[saga sage]
2018/05/09(水) 10:26:22.74 ID:NTp9xhz30
女の子「……そろそろ?」
男「……ああ、大丈夫だ。ちょっとした金くらいは持っとけよ。家まで帰る足は必要だからな」
女の子「…………問題ないわ」
男「うっし、じゃあ、行くか」シャッ
女の子「ええ」ギシッ
男「そういや、お前の顔見るのは初めてにな……」
女の子「そうだったかしら?…………何よ、その表情は」
男「…………」
女の子「……アンタは同情しないって思ったのに。……最悪、いえ、最低ね。いいから行くわよ」
男「行けるわけねえだろぉが……」
女の子「は?今になって臆病風に吹かれたの?早くしなさい」
男「ちげえよ」
女の子「違わない。行くわよ」
男「行けるわけ、できるわけねえだろ……」
女の子「できる!」
男「じゃあ立ってみろ」
女の子「……っ……こ、これでいいでしょ」ギシッ
男「……左手、ベッドから放せよ」
女の子「うっさいわね。立ったんだからいいでしょ。早く……」
男「こっから窓まで掴まれるものなんてねえんだよ」
女の子「だからアンタが居るんでしょ。ウドの大木よりマシな働きしてみなさい」
男「……窓枠、掴んで体を支えられっか?」
女の子「……出来るわよ、その位」
男「無理だ」
女の子「やってみなきゃ分からないでしょ」
男「無理だ」
女の子「……くっ、この……。もういい、私一人でもやるわ」
男「でめえ、自分の状況は一番てめえ自身が分かってんだろ」
女の子「分かってるわよ。だから出来るって言ってんのよ」
男「……出来るはずねえだろうが。右手と右足がなくて、どうして脱走できると思うんだよ……」
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