4:名無しNIPPER[saga]
2018/05/06(日) 21:46:00.33 ID:Z6NbnlKA0
そっと部屋を覗くと、声が鮮明に聞こえてきた。
「たすけ、て」
知っている人の声だった。
そう、私の同僚の声。
毎日聞いていた栄養士さんの声が、助けを求めていた。
けど、けど入口からでは中の様子が良くわからない。
机が死角になって、よく見えないのだ。
どうしよう、中に入るのは怖い……けど。
「ああ、だ、だれか……」
私はその声を無視することができなかった。
扉から離れて一歩足を踏み入れる。
更にもう一歩。
その段階でようやく、栄養士さんの足が見えた。
倒れている、のだろうか。
それと同時に、息遣いの音も聞こえてくる。
もしかして、怪我をしてこの部屋に逃げ込んだ……とか?
「栄養士さん、だ、大丈夫ですか?」
小さな、途切れそうな声で彼女を呼んでみる。
けど、返事がない。
ただ酷く激しい息遣いの音が部屋に響いている。
本来なら、ここで逃げておくべきだった。
けれど、私はそうしなかった。
きっと恐怖のあまり判断力が低下していたのだろう。
私は……。
……私は、彼女かどんな状態であるか確かめる為に、更に一歩前へ進んだ。
彼女は、一人ではなかった。
34Res/31.28 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20