15:名無しNIPPER[saga]
2018/05/12(土) 16:53:10.55 ID:Dj2zzIqj0
栄養士さんの顔には三人の「あの子達」が群がっていた。
私もよく知っている子達だ。
取り立てて活発ではなかったが、普段からとても仲が良かくて、遊ぶ時もいつも一緒だった彼女達。
そんな三人は、栄養士さんの顔の中で最も柔らかい部位、唇を熱心に噛みしごいている。
栄養士さんは懸命に顔を背けようとするが、三人の手でガッチリと押さえつけられて満足に抵抗ができない。
唇は神経が多く通っている箇所である。
つまり、敏感なのだ。
そんな個所をしつこく何度も噛まれていると、意識しなくても声が出そうになる。
だが満足な声を上げることができない。
唇を「あの子達」に噛まれていることにより、口の開閉が阻害されているからだ。
更にその隙間から「あの子達」の唾液が入り込んでくる。
「くふぅぅ……」
奇妙な空気の抜けるような音が、私の立っている位置まで聞こえてくる。
「あの子達」の唾液を嚥下しないよう、必死で吐き出そうとしているのだ。
きっと、苦しいのだろう。
単純に唾液の問題だけではない。
自分の中に生まれている感情を否定しようと必死なのだ。
そう、認められるはずがない。
自分たちが普段世話をしていた幼い女の子たち。
庇護対象であった彼女達。
起き上がる死体と成り果てた「あの子達」によって。
自分がいけない気持ちになってしまっていることを。
必死で否定しようとしているのだ。
「や、やめ……」
だから、こんな言葉を無理矢理吐いてしまった。
状況を考えれば、その発言はすべきではなかった。
三人は、栄養士さんの唇を噛みながら、更に柔らかい部位を探していたのだから。
そして、三人は一瞬ではあったが、その部位を見つけてしまった。
一瞬だけだったが、三人の唇に触れた、とても柔らかい部位。
「舌」の存在に、三人は気づいたのだ。
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