21: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/05(土) 11:20:22.74 ID:sqRoe9hI0
「私は……」
長い沈黙のあと、消え入りそうな声でほたるちゃんがつぶやいた。
「アイドルになりたいです」
「そっか」
あたしはぐすぐすと鼻をすすり上げるほたるちゃんの頭にぽんと手を乗せた。
「じゃあ、アイドルになりな」
ほたるちゃんが探るように目を上げる。
「体質ってことでいいのかな? それ、いろいろと不便でしょ、あたしは巻き込んでくれても構わないから、気軽に絡んでいいよ」
「よくないですよ」
「あたしがいいって言ってるんだから、いいんだよ」
あたしはぺしぺしとほたるちゃんの頭を叩きながら、軽くほほ笑んで見せた。
この子は人気出るだろうな、と思った。
ほたるちゃんにはなんとなく、守ってあげたくなるような、庇護欲をそそるようなかわいらしさがある。きっと、男だったらなおさらだろう。
また、それに矛盾するようでもあるんだけど、なんか、なんというか――
「……いじめたくなる」
ついうっかり、声に出してしまった。
「えっ」
「いや、なんでもない」
どうやら聞こえていたらしく、ほたるちゃんは後ずさるように身を引き、怯えのこもった目をあたしに向けてきた。
「ごめんて」
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