11: ◆U2JymQTKKg[sage saga]
2018/05/01(火) 00:00:08.79 ID:AOcRE9UGO
「環や、私のことは気にしなさんな」
「でも……」
「ばあちゃんには裏の畑があるし、友達もいる。寂しいことなんてないさ」
「お昼はそうかもだけど、夜は……」
「……それじゃあ、一つばあちゃんからのお願いを聞いてくれないか」
孫が真っ赤に腫らした目を大きく見開き私を見る。
「環よ、アイドルになってくれないかい?」
息子と嫁が目を丸くした。孫も驚いている。
「アイドルになって、TVの向こうで環の元気な姿を見せてくれないかい?」
孫は呆然としたまま私の顔を見つめ続けている。
「そうすれば私は環に会えるだろう?」
私の言葉に孫はたちまち笑顔になり大きく頷いた。
「うん、たまき、アイドルになる!」
いつもの孫の元気な声が食卓に響く。
「アイドルになってばあちゃんを寂しくなんてさせないからね!」
孫の言葉に私はにこやかに微笑んだ。
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