垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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88:名無しNIPPER[saga]
2018/11/15(木) 22:18:43.87 ID:fN5d1hik0
        ☆


鹿目まどかと巴マミは、急いで病院へと向かっていた。

マミが自宅にいてくれたのはラッキーだった。

もし放課後、友達とどこかへ遊びにでも行っていたらまどかは見つける事などできなかっただろう。

「早くしないと、さやかちゃんがーー!」

「落ち着いて鹿目さん」

半ばマミの手を引っ張るような体勢になっているまどかに、彼女は足を動かしつつも余裕のある声で諭す。

「グリーフシードが孵化してもすぐに魔女が活動を始める訳じゃないわ。そういった焦る気持ちさえ魔女は養分にする。むしろ今危ないのはあなたの方よ」

「そ、そうは言ってもさやかちゃんがーー」

「あの娘にはキュゥべえが付いているんでしょ? ならきっと上手く時間を稼いでくれているはず。不安になるのは分かるけど、そういう時こそ落ち着いてよく周りを見ないと、余計な犠牲が増えるばかりか救えるものも救えなくなるわ」

走りながらもマミはソウルジェムに反応するキュゥべえの位置を拾っていく。

まもなく病院の全景が見えてくる頃だが、結界の場所はほとんど把握できている。

住宅街を走り抜ける制服姿の少女二人に周りの人が奇妙な目線を向けるが、彼女たちは気にせず一目散に魔女の結界を目指す。

「ここね」

まるで見えない紐に引っ張られるように、結界の前まではすぐに辿り着いた。

「分かってると思うけど、ここから先は慎重に進むわよ。どこで使い魔の奇襲を受けるか分からないからね。鹿目さんも最大限警戒して」

「……分かりました」

短く答えて、二人は結界に飛び込んで行く。

そして、そんな彼女たちの姿を街中の監視カメラを通じて追う影があった。

「おーおーおーおー、よく分かんねえけど始まったみてえだな。自力で調べるしかねえと思ってたが、向こうから首差し出してくれんなら大助かりだ」

手元のタブレット端末を見つめながら芝居がかったように呟いたのは『未元物質(ダークマター)』の垣根帝督だ。

口の動きから発言を解析するアプリと、ハッキングされたカメラ映像を駆使する第二位はニヤニヤと不適な笑みを浮かべる。

学園都市の協力機関や出張研究所を狙った謎の襲撃者。

その重要関係者として巴マミに目星を付けていた垣根(と誉望)だったが、いくつかの手がかりからその疑惑はほとんど確信に変わりつつあった。

「垣根さん準備できました」

おう、と気軽な調子で彼は返す。

彼らは学園都市の裏で活動するいわゆる『暗部組織』の所属で、事件を解決する為の調査員として派遣されている訳だが、それとは別に彼ら自身の目的がある。

その為に準備してきた垣根は、目の前に降って湧いたチャンスを見逃すような人物ではない。

「せっかく舞台を整えてくれた訳だしそろそろ俺も行くとするかね。さて、鬼が出るか蛇が出るか。いずれにしろ、その薄皮一枚でも剥いで持ち帰りゃ俺たちの勝ちだ。学園都市の思惑なんてどうなろうが知ったこっちゃねえ」

そう言う垣根の表情に、不安や躊躇といった感情は見えない。

壮大な野望の為、彼らは行動を開始する。





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