垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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69:名無しNIPPER
2018/06/12(火) 23:27:58.59 ID:psAQX80k0
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魔女退治は何事もなくあっさり終わった。

鹿目まどかは巴マミ、美樹さやかと別れ、繁華街のネオンライトを横目に帰路に着いていた。

「……、」

よく考えるように、とマミが言った言葉を思い出す。

当然の事だろう。

何せ死の危険がつきまとうのだ。

それが強い警告であることは、放課後にカフェを出てからついさっき別れるまで彼女が度々魔法少女として活動することの厳しさ、不便さ、煩わしさを語っていたことからも分かる。

それを分かった上で、マミは彼女たち自身に選択権を委ねている。

魔法少女になるな、とは結局一度も言わなかった。

その意味も、まどかはちゃんと分かっているつもりだ。

「……ねえキュゥべえ。これは誰かがやらなきゃいけない事なんだよね? 魔法少女がいないと、何の罪もない人たちが魔女の餌食になっちゃうんだよね?」

言いながら彼女は目線を左下ーー自分の肩に向けた。

そこには白い小さな獣、通称キュゥべえがちょこんと座っている。

彼は感情の読み取れない表情で、首だけを少し動かして頷いた。

「魔女は使い魔を産み出し、使い魔は人間の感情の起伏を養分として魔女へと成長し、その結果様々な悲劇を引き起こす。もし君が魔法少女になれば、起こるはずだったいくつもの悲劇を未然に防ぐことができるだろうね。君にはその素質がある」

キュゥべえは淡々と答える。

魔法少女としての素質がある。

その言葉は昨日から何度も聞いた。

何を基準に判断しているのかは分からないが、とりあえず魔法少女に適合するには様々な条件が必要で、それが当てはまるのはごく一部の少女だけらしい。

その中に自分も含まれている。

巴マミが言った「あなたたちはキュゥべえに選ばれた人間なのよ」という台詞が頭の中で反芻する。

たくさんの人の中からあなたが選ばれました、と言われて嫌な気分になる人は少ないだろう。

しかも自分の素質を見込んでというなら尚更だ。

実際、まどかも同じ気持ちだった。

当然、魔女と戦う事に対しての恐怖心はある。

願い事も特に決めてない。

だが、それらを抜きにしても誰かが自分に期待をしてくれている。自分が誰かの役に立てるという事に喜びを感じる。

「……マミさんって、いつもあんな風に戦っているの? 怖くないのかな?」

「恐怖心が無いと言えば嘘になるだろうね。実際、魔法少女になりたての頃はしょっちゅう泣き言を言っていたよ。さすがにもうベテランだから、ある程度感情をコントロールしてるようだけどね」

「たった1人で? 何でそんなに頑張れるんだろう」

「マミは正義感が強い子だからね。魔法少女の中には自分の利益だけを追求してグリーフシードの横取りを狙ってばかりの子もいるけど、彼女についてはそんな素振りは全くない。単純に、この街を守りたいんじゃないかな」

「……、」

まどかは改めて巴マミの事を思い出す。

彼女は見滝原でただ1人の魔法少女という事だ。

たった1人で、彼女はこの街を守り抜いてきた。

誰にも知られることもなく。

誰にも褒められることもなく。

その中で出会った魔法少女候補生。



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