垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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10:名無しNIPPER
2018/05/01(火) 18:11:19.59 ID:NRv/knmj0



鹿目まどかは特にこれと言った取り柄のない普通の中学生である、と自分で思っている。

「おっきろーーーー!!!」

まだ幼稚園にも通えない幼い弟タツヤのモーニングコールなどではビクともしない母親に止めの一撃(布団剥がし)を見舞い、少女はいつも通り朝の支度をする。

1階に降りると、父知久が庭に出て家庭菜園の世話をしているようだった。

「おはようパパ」

「おはようまどか。今日はよく晴れたね」

「プチトマト摘んでるの?」

「うん、朝食のサラダに入れようと思ってね」

慣れた手つきでトマトを千切っていく知久。

父が作る朝食は、まどかにとって毎朝の楽しみの一つだった。

ほどなくして、重い足取りで母、詢子が瞼をこすりながら降りてきた。

「おはよう、コーヒーでいいかい?」

「うん、頼むわ」

テキパキと朝食の準備をする知久をよそに、詢子は置いてあった朝刊に手を伸ばした。

まどかは横目でそれを見ると、

「またこの前の昏倒事件のこと? 最近本当にそればっかりだね」

少しうんざりした様な感じでまどかは話しかける。

彼女が言っているのは9月30日に学園都市で起きた事件のことだ。

「まあ被害者の数が半端じゃないようだしなあ。特定の場所にいた人達が集中的にって訳じゃなくて、ほとんどの学区に跨がって一定の割合で被害が出てるってのも気味が悪いよな」

「うーん……、確かに屋内にいた人も被害に遭ってるのも変な話だよね」

まどかにとって、集団昏倒の原因で思い浮かぶものといえば神経性のガスや食中毒などだが、今回の場合そのどちらにしても説明がつかない。

この不思議な事件は学園都市外でも噂になり、様々な憶測が好き勝手に語られていた。

SNS上でも『特殊な電波に寄るもの』『学園都市を疎ましく思う秘密結社の大規模クーデター』『宇宙人の襲撃』など都市伝説のような話まで飛び交っているのをまどかは知っている。

「そもそも学園都市が発表してる情報が全て正しいとは限らないしな。恩恵を受けてるうちらが言うのも何だが、あそこは他より進んだ科学技術で他国と対等に渡り合えるまで成長した都市だ。ある程度情報規制はされてると考えるのが自然だろう」

まどかが住む見滝原市は、近年学園都市からの援助を受け急速に発展した街だった。

そのため、彼女の通う中学校をはじめ、公共施設の外観や設備も他の都市と比べて洗練され、どこか未来的なイメージを受ける。

地元の政治家の一部は最初「これは学園都市の実験だ」と反対していたが、いつの間にかそう言った意見も聞かなくなった。

住民にしてみれば、より快適に暮らせるようになるのだ。反対する理由はない。

きっとその政治家も、科学の恩恵による誘惑に負けたのだろう。

まどかがそんな事を思っていると、丁度知久がプレートを両手に持って運んできた。






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