小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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48:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:57:17.89 ID:WQSNhX7B0
私は寝巻きのままベランダに飛び出して夜空いっぱいに降り注ぐキャンディたちの光りを見上げた。

もしこれが爆弾だったらいまごろ地上は火の海だ。
でもほとんどが地面に落ちるまえに燃え尽きてしまっていたし、ニュースを見てもとくに避難勧告は出ていないみたいだからたぶん安全なんだろう。

私はベランダの手すりにそっと寄りかかり、世界の終わりのような光景に見とれた。
遠くの景色にはあいかわらず祈りの壁が悠然と横たわっている。
その壁一面に飴たちの炎が閃光のような痕を残し、そして消えて行った。

それにしても、燃え尽きる前に地上に落ちた飴はどうするんだろう?
まさか拾って食べるわけにはいかないよね。
そんなことを考えていると、ふいに頭のなかにあの懐かしいメロディーが流れてきた。
なんとなく口ずさんでみると、自分でも意外なくらい歌詞がすらすら出てきてびっくりした。

♪〜Do you have a candy ……?

♪〜A cancy Bomb ……

「…………」


……ああ、そっか。

そういえば最初はこのベランダから始まったんだっけ。

なんだか妙に寝付けなくて、それで外の空気に当たろうと思ってベランダに出て、そしたら卯月ちゃんが……

「…………」

私は昔の記憶を思い出すみたいにゆっくり振り向いた。

……でもね、本当は振り向く前から気付いてたんだ。
こんなこと言って信じてもらえるか分からないけど、私もけっこう、成長したんだから。
もう私は泣き虫の私じゃないんだって、そう決めてたから、だから……

「卯月、ちゃん」

「……ただいま、美穂ちゃん」

飴降りの夜、私たちは再会した。


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