小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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4:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:22:47.24 ID:WQSNhX7B0
寒くなってきたので部屋に戻った。

カーテンの隙間から漏れる星明かりをたよりに、そろりそろりとベッドにもぐりこむ。

「眠れないの?」

すぐ横の暗闇から声がして、じーっと目を凝らすとお姉ちゃんがぼんやり私の方を見ているのが分かった。

「起こしちゃったね」

「いま何時?」

「ん〜、たぶん1時くらい」

「手、冷たいよ。大丈夫?」

お姉ちゃんの温かい手が私の手を握って、それから布団をもぞもぞ動かして2人でくっついて丸まった。

「ね。今頃はさ……」

と言い出したのは私。

「もう一人のお姉ちゃんは、寒いのがヤだからって南の国に遊びに行ってたりするのかな」

「どうかなあ。お母さんか美穂がいないところで生活できるかな、私?」

「むずかしそうだね」

お姉ちゃんは世界に無数に存在するもう一人のお姉ちゃんについてあまり関心を持たない。
私はけっこう、気になるんだけどな。
私たちがこうやって姉妹で一緒に暮らせるのも、卯月ちゃんが宇宙のあらゆる時空に偏在しているおかげなのだ。

ある種の信心深い人たちによれば、卯月ちゃんはいま神様に一番近いところにいるらしい。
でも、神様とは違うんだって。

じゃあ、天使?
そう言う人もたくさんいる。
確かにお姉ちゃんの笑顔は天使みたいにかわいい時があるけど、それは比喩的な意味の天使であって、私は必ずしもお姉ちゃんがからっぽの存在になってしまった事について天使と言いたいわけじゃない。

だって、それじゃまるで死んだ人みたい。
卯月ちゃんは天使である前に私のお姉ちゃんなんだから。


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