小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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32:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:44:29.34 ID:WQSNhX7B0
「キス、してみる?」

耳元で卯月ちゃんが囁いた。

「誰と?」

「私と」

そこから先はもう言葉はいらなかった。
私たちは無言のうちにそっと唇をかさねあった。

全然、情熱的でもなんでもない、ただお互いのくちびるに触れただけのぎこちないキスで、そこには私が思い描いていたような激しい感情はなかったけど、卯月ちゃんのやわらかい感触とぬるい体温を感じられることがなぜだかとてもうれしくて、私は、キスってこんなにやさしいものだったんだって思った。

そしてたぶん、やろうと思えばそこから先へ進むことだって出来たはずだった。
でもやっぱり私たちはまだ子供だったから、そのキスの意味だって何も知らなかったんだ。
それを悲しいと思えるようになるにはあとどれくらい大人に近づけばいいんだろう?

「……どうだった?」

「思ってたのとちょっと違ったかな」

「わたし、ファーストキスだったんだよ」

「わたしも」

何かが変わるのかなって期待してた。
けれど私もお姉ちゃんも、何が変わったのか、何が変わらなかったのか、それすら分からないまま、ただじゃれあうようなキスに不思議な安心を感じただけだった。
それは私たちにとって何も特別なことじゃなかったんだ。


それから何事もなかったように私たちはテレビを消して寝る支度をした。
いつものように同じベッドに横になって、おやすみって言うかわりにもう一度キスしてみることにした。
でも今度のはちょっとわざとらしい、キザっぽい感じがして、2人で思わず笑ってしまった。


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