小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
1- 20
19:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:35:05.53 ID:WQSNhX7B0

「……めでたしめでたし、ってこと?」

「ううん、まだ続きがあるんだ。そのあと2人の女の子は遊園地のなかで人ごみに流されて迷子になっちゃうの」

私たちはそれから一緒に遅い夕飯を食べた。
そして一緒のお風呂に入り、一緒のベッドに入って暗闇のなかでお姉ちゃんのお話の続きを聞いていた。

「迷子になった2人は一生懸命おたがいを探すんだけど、結局夕方になるまで見つからなかったんだって」

「そう……」

「ようやく遊園地の入り口で再会したとき普通の女の子はぐしゃぐしゃに泣きべそをかいてたんだけど、かしこい女の子は全然平気そうにしてて、それで泣いてる女の子にこう言ってなぐさめたんだ」

『だから言ったでしょ。私たちは同じところをぐるぐる回ってるんだから、いつかまた絶対会えるのよ。ま、多少はズレちゃうときもあるでしょうけどね』

「…………」

「おしまい」

お姉ちゃんはまるで部屋の電気を消すみたいにそう言った。
なんだかなあ。

「2人はそれからどうなったの?」

「さあ。文香ちゃんはそこまでしか話してくれなかったけど」

私はそっぽを向くように仰向けに体をなおして天井をじっと見つめた。
どこか遠くでカラスの鳴き声がして、ときどき夜のなかを車が走っていく音も聞こえた。
私たちの部屋は白いカーテンに濾過された月の光のやさしい成分に満たされていて、気が付けばお姉ちゃんは私の横ですやすやと寝息を立てていた。

どうか明日はお姉ちゃんが消えていませんように、と私は願った。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
57Res/75.88 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice