4:名無しNIPPER
2018/04/24(火) 20:41:32.03 ID:25rQ95o00
電子ケトルのお湯が沸いた。打ち上げのビンゴで貰ったケトルだった。
同時に、トースターからパンが二枚飛び出した。これも、一人暮らしを始めた時にくじで貰ったトースターだった。
でも、パンはちゃんと買ったもの。
(いけない)
焼き終わる前に起こすべきだった。こういうリズムに、私はまだ慣れていない。
そんなことが楽しくて、少し笑みながら居間を出た。
都内のマンション。色々な事情が重なって、私は運よくこの4LDKを安い値段で借りていた。眺めのいい部屋で、晴れている日には遠くに富士山を視ることができる部屋だった。
その内の一室。かつては物置に使っていた部屋に入る。
閉じられたカーテンの隙間から洩れる光が、薄暗い室内を照らしていた。
今では奇麗に整理され、真新しい家具が部屋の中を飾っていた。立派ではないが、殺風景でもない程度のシンプルな部屋。カーテンにクローゼット、小さなテーブル。そしてベッドが一つ。
このベッドはこだわった。柔らかいのもいいけど、返って体に負担になることもあるというから、柔らかすぎず、堅すぎず。
触ったり、一緒に横になったりして一つ一つお店で確かめた。
しっかり吟味した甲斐はあったようだ。寝心地は良さそうだ。
彼女は安心に満ちた、とても穏やかな寝息を立てていた。
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