橘ありす「インタスグラム、ですか?」
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14: ◆E055cIpaPs
2018/04/21(土) 23:34:49.91 ID:0nbIURfu0
「良かったのか、これで?」

 彼女がインタスグラムに投稿する予定の写真をチェックしながら、僕はそう彼女に問いかけた。

 ああでもない、こうでもないと、彼女は写真に付ける用のタグ(最低限5つ以上、できればアルファベットのものを多めに付けるというみくの教えにかなり難儀しているようだ)を英和辞典のページを参考に考えている。

 僕が画面をタップすればすぐにでも、他の芸能人たちとある意味では変わり映えしない、日常の写真や仕事の合間のオフショットが、二人で撮り直した少し照れを抑え込むような笑顔の実写アイコンの下に並ぶことになる。

 これでは、最初彼女が思い描いていたSNSの運用の仕方とはかけ離れたものになるはずだ。

「ええ、いいんです」

 タブレットから顔を話してこちらを向いた彼女は、まるで付き物が落ちたような、そんなすっきりとした顔をしていた。

「これが、アイドルとしての私の全てが、私の本当に楽しいことなんですから」

 賢く、大人らしくあろうと必死に考えて背伸びして書いたこと。

 私がみなさんに知って欲しいのは、決してそれだけじゃなくって。

 お仕事を通して出会った、刺激的で感動的な新しい世界のこと。

 楽しかったことや、美味しかったもの。

 私を、好きになってくれた人達。

 そして私が、好きになれた人達。

 私が楽しいって思っている”アイドル”の、テレビに映らない色々なことも。

 そんな、私の日常生活を切り取った写真に一つ一つタグを付けていくことを、こんなに楽しく感じるような私にしてくれた人達とのことを。

「私には、皆さんに見てもらいたいものがいっぱいあるって気付いたんです」


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