62: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/20(金) 21:09:17.56 ID:NMaauvKO0
「……くふっ、ふ、ふっ……あははっ……っ!!」
悪魔のドリンクバーを敢行していた楓さんが、やがてころころと笑い出した。
どうしましたか、ようやく酔いましたか。
「はーっ……ふふっ、ごめんなさい。私、あまり友人とこういう騒ぎ方をしたことが無かったんです」
涙がにじむほど笑って、まなじりを指で撫でながら、楓さんが言った。
「プロデューサーはご存知でしょうけれど……私、人見知りで。コミュニケーションも、そんなに上手では無くて」
「……」
「私、どうやら変わったコだったみたいですし、こんな変な眼をしていますし……友達は、多い方ではありませんでしたから」
不意に、初めて出逢った時の彼女を思い出した。
突然、モデル部門から新設されたばかりのアイドル部門にフラッと現れ、素晴らしい歌声を聴かせてくれた彼女。
内気な女性だ、と感じたのを覚えている。そう、確かに内気な人だと感じたのだけれど、なぜかずっと前から知っているかのように、話しやすかった。
たじろぐほどの美人で、普通は緊張するだろうに、あの時の僕は、彼女を初めて見て、妙に安心したんだ。
その声も、佇まいも。なぜか、そのあとこの人とパートナーになるんだと、ぼくは信じきっていた。
「はーっ……おかしい……ふふっ」
――――貴方と私が、これっきりとは思えなくて。
それは、彼女の台詞だった気がする。
なんの根拠もなかったのに、不思議なものだった。
「……ねえ」
美しい瞳が、語りかける。
163Res/145.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20