61: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/20(金) 21:07:36.11 ID:NMaauvKO0
「――さあ、復唱してください。楓さんは家庭的な料理も作れる素敵な女性です、嫁にしたい大好きです結婚しよう、はい」
「くっ……殺せ……!!」
楓さんの左目と同じ色をした魔性の四合瓶の輝きが、僕の中の劣情をちりちりと煽り立てる。
「ふふ……いまならこの一夜雫だって開けちゃいますよ……」
「ばっ、ばかなっ!? 圧倒的人気を博しながらその特殊な製法が故に去年、惜しまれつつも製造中止となったまさに幻の銘酒が、なぜ楓さんの元にっ……!?」
「ふっ……この高垣楓を、嘗めてもらっては困る!」
資源の多寡が物事の趨勢を決めてしまう事がある。戦いの持つ残酷な現実だ。
より多くを持つものに女神は微笑み、より強大な課金力を誇るPが上位報酬を手にする。
「くっ、くそ……旅行だってのに荷物から酒瓶ばかり出てくる女を、家庭的と認める、なんてぇっ、悔しいっ……でもっ……!!」
「言わないのならこの一夜雫を別のお酒とブレンドします。」
「やっやめろーっ!」
全国にごまんと居る高垣楓ファンからの貢物、そして自身の圧倒的購買力を背景にレア銘酒をずらりとそろえ、誘惑と恐怖を巧みに織り交ぜ交渉を優位に進めるその姿は、まさに世紀末歌姫。
「三井の寿あたりとなんかどうですかね」
「いっ、いやぁー!!」
よりによってふんわり浮かぶが如きまるい口当たりの一夜雫と、大辛キレキレのミッチーを混ぜるなんて。
ああ、神様……
「ふふっ……あなたを救う神はいません……神は死んだ!」
今まさに、目の前で僕の女神がダークサイドに墜ちようとしてますよ。お酒にも闇にも呑まれてるよ。
くそっ、このままでは楓さんを嫁に迎えてしまう。
楓さんに良く似た一男三女に恵まれて、少し朝の弱い楓さんを毎朝起こす幸せな日々を送ってしまう。
……あれ? 良い人生じゃないか……?
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