高垣楓「君の名は!」P「はい?」
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103: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 06:53:15.29 ID:uqQOtxCi0

『――――楓へ。

それがしは君も既知の通り、百姓の出自ゆえ、手紙の作法も知らぬが、許せ。
さて、江戸へ帰参して折、ご公儀の務めを果たすべく幕府より五千両、大阪商人組合十家より四千両の矢銭が新撰組改め甲陽鎮撫隊へ付け届けられ、我ら隊士一同も過分なるご厚志を頂戴致したもの。
然れども、戦場にあっては金銭の使いようは無く、また君も既知の通り、それがしは天涯孤独の身の上ゆえ、洛中御勤めの頃よりの貯えとまとめて、とまれ君に送金するもの。』

そったな言葉で始まる、おまえ様のお手紙を、果たしてどのように受け止めたらよいものやら。
まずもって、とまれ、などという金額ではございませぬでしょう。
大の妓夫さん四人がかりでようやく運びましたれば、千両箱にぎっしり、それにおさまり切らず、さらに八十両余りもの大枚。

一体どないにして、こったな大金をこさえたんどすか。

……鳥羽伏見での戦も、上野の戦も甲州の顛末も、この京が島原にあっては、すべて聞き及んでありんす。
ですから、ほんとは全部、わかっとりやんす。みずきの姉さまが泣き崩れにならはった理由も、こったな場違いな大金が今頃に届く意味も。

そのひでえお戦の真っただ中に、おまえ様は居るのですから。

けんどねえ……ひょんたな事ではありんすが、ふわっふわと、なにやら地に足の着いた心地がせぬのです。
この字は、百篇でも見返した、おまえ様から頂戴したいくつものお手紙と全くおんなし、みみずののたくったような拙な書きゆえ、わっちが見紛うはずもありんせん。
けんど、なにやら頭が呆けてしまったように、これがまことにうつつの事でありやんすのか、ようわからんのですえ。



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