93:名無しNIPPER[saga]
2018/04/21(土) 20:49:22.82 ID:LYLIZ9K70
「……あ、あの、どうして……」
彼女は困惑していた。俺と相川を交互に見やって、地面に視線を下ろす。
「アレをやったのは俺じゃないって説明するために来ました。
あと、ごめん」
俺は頭を下げる。
数秒ほどがとても長く感じた。視線をあげると、彼女のキョトンとした顔が見えた。
「じゃあ、私の、その、手紙にあんなことしたのは、」
「うん、俺ではない」
そう言うと、彼女が目に見えて安堵した。
しかし、すぐに疑問の目を向けて来た。
「じゃあ、なんで、謝るの?」
「……」
俺は視線をそらした。ほとんど無意識だった。自分でも驚く。
相川と目があった。
以外にも彼女は普通の表情をしていた。俺を責めるでもなく、呆れるでもなく、ただ俺がどうするのかを観察するように。
俺は振り返って田中さんと目を合わせた。
「あのさ、ごめん。手紙を切ったのは俺じゃないけど、それとは関係なしに、君の気持ちには答えられないって言うためにここに来た」
ウソだ。
彼女は目を丸くする。何が起こったのかよく分かっていないような顔だ。
数十秒ほどの沈黙があった。
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