1: ◆h2R5lxXxbk[saga]
2018/04/16(月) 00:25:45.34 ID:rr9pDwNT0
大槻唯は小さなボックス部屋で歌っていた。
彼女は笑顔だった。
手元にあるタブレットに数字を入力して、流行りの曲を呼び出す。
イントロが流れると唯はマイクを唇に近づけ、歌った。
喉が乾いて烏龍茶を飲んだ。
カラオケを楽しんだ。
別れ際、唯の友達は言った。
「唯は歌が上手くて羨ましいよ」
唯は得意げに笑った。
自負していることを褒められるのは嬉しいことだ。
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2: ◆hAKnaa5i0.[saga]
2018/04/16(月) 00:26:31.34 ID:rr9pDwNT0
唯が事務所に着いたのは夕方だった。
空はオレンジ色に染まっている。
黒い雲が流れている。
3: ◆hAKnaa5i0.[saga]
2018/04/16(月) 00:27:24.65 ID:rr9pDwNT0
唯はボイスレッスンを受けた。
自信があった。
だがベテラントレーナーの青木聖はなかなかOKを出さなかった。気難しそうな表情を浮かべている。
4: ◆hAKnaa5i0.[saga]
2018/04/16(月) 00:28:15.98 ID:rr9pDwNT0
駅に着くと学生がたくさんいた。
駅前の塾から出てきた者もいる。
勉強をしていたのだろう。唯は売店で棒付きの飴を買った。
5: ◆hAKnaa5i0.
2018/04/16(月) 00:29:08.11 ID:rr9pDwNT0
車内は混んでいた。
唯は自動ドアの前辺りに立った。
隣には学ランを着た高校生が英単語帳に目を落としていた。
6: ◆hAKnaa5i0.
2018/04/16(月) 00:29:41.30 ID:rr9pDwNT0
家に帰ると唯はうがいをした。
喉がヒリヒリする。
腫れている感覚がある。
7: ◆hAKnaa5i0.
2018/04/16(月) 00:30:30.37 ID:rr9pDwNT0
唯は風邪を引いていた。
寒気がした。
母に揺すられ目を覚ました。
8: ◆hAKnaa5i0.
2018/04/16(月) 00:31:23.37 ID:rr9pDwNT0
夜になると唯は嘔吐した。
昼間から何も食べていなかった。
スポーツドリンクで薄まった胃液がバケツの中に溜まった。
9: ◆hAKnaa5i0.
2018/04/16(月) 00:31:57.40 ID:rr9pDwNT0
夕方、梅の入ったおかゆを食べているとプロデューサーと相川千夏がお見舞いに来た。
「元気そうね」と千夏は微笑んだ。
「心配したぞ」とプロデューサーはホッとしたような表情を浮かべた。
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