高垣楓「おでん」
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14:名無しNIPPER[saga]
2018/04/15(日) 00:05:10.70 ID:ah/HvYxA0

はぁ、珍しい事もあるもんだ。
ラジオだテレビだなんてのは別世界のモンだとばかり思ってたからな。
にしてもだ。

 「姉ちゃん、アイドルなんだよな」
 「そうですそうです。けっこう人気あるんですよ、えへん」
 「の割にはさっきの番組、酒の話しかしてなかったような気がするんだが」


 「まぁ、シツレイな。ちゃんとおつまみの話もしてましたよ」
 「あの、楓さん。イメージ崩れるんでちょっと」
 「安心しな。とっくにガタガタだ」

後ろの幕を開けて煙草の煙を流す。
雪はまだまだ降りしきっていて、目の前の道路にもうっすらとだが積もり始めていた。

 「おでんが食べたくなってきた、ってのは嘘じゃなかった訳だ」
 「もちろん♪ どこで食べようか探してて、それでここを見つけたんです」
 「今どき屋台というのも珍しいですよね。他にも多いんですか?」
 「いや、少なくともこの辺りじゃ俺くらいだな」

そもそも儲けようとして屋台をやる奴なんぞほぼ居ないだろう。
席数は少ねぇし、回転率も悪い。

 「俺にしたってコイツは副業さ。だから開くのも週一。金曜だけだ」
 「勿体ないですね。美味しいのに」
 「ありがとよ。いつか小料理屋を開いたらまた来てくれ」
 「約束しましょう」


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