43: ◆eUYYCXmg66AS[saga]
2018/04/17(火) 20:59:25.70 ID:YQPnEkcio
そうしている間にお湯が沸いたので、なでしこのカレーメンに注いでやった。
――
――二杯目なのに美味そうに食いやがる。
私はついさっき出会った他人のように、あの日の問いを繰り返す。
「ねぇ、あなたどこから来たの?」
「わたし? ずーっと下のほう、南部町ってとこ」
うん、知ってる。
「南部町……、よくチャリでここまで来たね」
「『本栖湖の富士山は千円札の絵にもなってる!』
ってお姉ちゃんに聞いてながーい坂登ってきたのに、曇ってて全然見えないんだもん!」
あの日見た富士山を思い出し、眼前の富士山と重ね合わせる。
季節は違えども、この美しさは一年中変わらないだろう。
「聞いてよ奥さ……、ふふっ」
彼女は急にクスクスと笑い出し、釣られて私にも笑みがこぼれた。
「なんだよ、なんで笑うんだよ」
「だって、おかしくって! ふふっ、いつまで続けるの? これっ!」
「そうだな、もういいかな」
なでしこは満足げな笑顔を浮かべ、私も彼女と同じ笑顔になる。
きっと、今日一番の笑顔だ。
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