白菊ほたる「光」
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6: ◆CfShMv7DuQ
2018/04/10(火) 23:17:12.44 ID:WKu1Dz3e0


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「こちらで名前を呼ばれるまでしばらくお待ちください。」


「はい、ありがとうございます。」


待合室に入り、ふと周りを見渡すと他の受験者達が目に入りました。
緊張しつつも真剣な表情を浮かべている人、待ちきれないといった様子の笑顔を浮かべている人、不安げな表情を浮かべている人……色々な人が居ます。
でも、皆アイドルというものへの憧れや期待を抱いているのは同じ……そう見て取れます。


私はどうなんでしょうか
……きっと私も、最初の事務所でオーディションを受ける時にはあんな表情をしていたはずです。
でも今は……? 椅子から立ち上がり、窓ガラスに写る自分の表情を見ます。


そこには、アイドルとは到底思えない憂わしげな表情を浮かべた少女が佇んでいました。
ふと、アイドルになると決めた日から毎日欠かさずやってきた笑顔の練習を思い出し、そっと、指で口角を釣り上げ笑顔を作ります。


けれど、そこに写っていたのは誰が見ても下手な作り笑いと分かる、空虚で無機質な笑顔の少女だけ。
窓に流れる雨粒がまるで涙のように頬を伝って……そんな自分の表情をこれ以上見ていられず、私は黙って席に戻りました。




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