周子「昨日のあたしが知らない場所を」
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73: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/15(日) 12:09:47.99 ID:CS+tPRVL0
よく晴れた初夏の朝だった。

入道雲の子供がぽつんと浮かんでいるだけの空は青一色で、とても眩しかった。

今日のあたしは、着物美人の看板娘から一転、イマドキの装いの18歳。

白いワンピースと、藍鼠色の羽織もの。

大きく出た肩は、あたしなりの自己主張だ。

エレベーターを降りてすぐに、いつか見た顔を見つけて歩み寄る。

緊張と興奮で鼓動は少しばかり早まっていたけれど、歩みはあくまでオトナっぽく、平常心で。

男の人はあたしを認めて破顔して、それからあの日の夜のように恥ずかしそうに頭を掻いた。

今日は眼鏡をかけていなかった。


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