10: ◆cgcCmk1QIM[sage saga]
2018/04/01(日) 23:03:44.31 ID:ljaLpwSi0
福の神「―――私は先ほど、菜々殿は不幸を甘く見ていると言いました。私が守っていなくては彼女は早晩不幸につぶされただろうとも」
菜々「は、はい」
福の神「私は、私が守っているから彼女はやっていけているのだと思っていた。だから、事故が起きたと聞いたとき、私は彼女はもうだめだろうと思った」
菜々「……」
福の神「だが、そうではなかった。甘く見ていたのは、自惚れていたのは、私の方だったのかもしれない」
菜々「甘く?」
福の神「彼女自身が不幸に負けず、たくましくなろうとする。そういう彼女の周りに、彼女を好いて、助けようとする者も現れる。 そういうものの力を、です」
菜々「……」
福の神「本当に私は、あの子はもう駄目だ、と思ったのです…だけど、そうではなかった。近くで見ているつもりで、私はあの子の中で、その周りで育ちつつあるものを見ていなかったのだ」
菜々「福の神さん」
福の神「私は一度、消えます―――そして遠くからあの子を見て、彼女に本当に自分が必要なのかどうか考えたいと思います」
菜々「福の神さん―――」
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