64: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:28:31.85 ID:UdBPP3xP0
あたしの眼は全部をバラバラにしてしまうと。
優しさや思いやりをも理屈で解体し、損得の筋が通る身も蓋もない骨組みに帰してしまうと。
理解と解体はやがて、この世の全てから色を取り払ってしまうと。
その時期に夫婦の間で交わされた会話をあたしは知らない。
何らかの取引がなされて、どこかに妥協点を見出したのかもしれない。
もしくは妥協点が見つからなかったから、計算式そのものを放棄するしかなかったのかもしれない。
――あなた、何者なの?
いなくなる直前、ママはそう言い残した。
どうして、と口にすることはその時も無かった。
あたしはどうやらあのひとの希望ではなかったらしいと納得するのみだった。
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