115: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/31(土) 22:06:48.48 ID:nFUBVzrv0
―― 都内 某ホテル
なんとかアポイントを取って、都内の某高級ホテルでその人と顔を合わせる。
色々ギリギリになってしまったが間に合った。
アナスタシアとその父親は、今夜の飛行機で北海道に帰ってしまう予定だったという。
父親の方は純血のロシア人で、かのジェド・マロースの息子というから存在感が半端じゃない。
冬の原野に立つ巨木のような体躯に、娘と同じ銀髪碧眼。
彼は紳士だった。
突然やって来た俺にも嫌な顔を見せず、娘を気にかけていた志希やフレデリカや俺に礼を言った。
そしてまた、天気が持ち直したのは父親の力もあった。
隔世遺伝の娘ほどではないが彼も直系だ。
東京の雪を抑えるだけの力はあり、今日まで滞在していたのはフェスの開催に配慮してのことで、
それをもって謝礼の代わりとしたいと言ってくれた。
ただ、娘を連れ帰るということに関しては頑として譲らなかった。
俺のような若輩者に親心のなんたるかを語る資格など無いが、大切な子を案ずる気持ちはわかる。
けれど、このまま帰らせてしまうわけにはいかない。
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