43:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 01:04:07.91 ID:EAF0Yir90
「アンタら、貞ちゃんのお母さんの山村志津子さんについて知っているかい?」
「志津子?いや…女将さん、俺たちは貞子さんについて聞いてるんですけど?」
「カイトくん、ここはとりあえず黙って聞いておきましょう。
それで女将さん、貞子さんのお母さんに当たる志津子さんとはどんな人でしょうか。」
「山村志津子…
昔からこの島にいる人たちは彼女の名前が出るとみんな口を閉ざしてしまうんだよ。」
なにやら悲しげな表情で山村志津子なる女性について思う女将。
それはこれから語られるのはある意味、悲劇ともいえる話しだからだ。
「もう随分昔…戦後のことだったわ。」
それは第二次大戦終了後のこと、
当時この島の海女だった志津子は連合国軍占領下の政策の一環として
伊豆大島沖の海中に投棄されていた役小角の像を引き上げた。
それが始まりだった。
この直後から志津子はある能力に目覚めた。
それは予知や透視といった所謂超能力というモノだ。
島民はこのことを眉唾モノだと思い誰も信じなかったが
一人だけ志津子の能力を信じた男がいた。
志津子の能力を確信したのは『伊熊平八郎』という本土から訪れた学者だ。
彼は志津子の言葉を信じた一人。
当時、妻子を持つ身でありながら
伊熊は志津子と不倫関係に陥りやがて子供を身籠り一人の女の子が生まれた。
「それが貞ちゃんだった。けどあの子は不貞の子だったのよ。」
不貞の子、つまり本来生まれるべき子供ではない不義の子だ。
それでも母の志津子は娘の貞子を愛してやまなかった。
いくら不貞の子でも実の娘、たった二人の親子に差して問題などなかった。
あの不幸な出来事が起きるまでは…
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