31:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 00:49:08.15 ID:EAF0Yir90
8月26日 PM20:30
「…」
「杉下さん…思いつめた顔をなさって…何か考え事ですか?」
「まあこの人が考え事するのはいつものことなんで気にしないでください。
けど…どうしますか?当時の事件関係者のほとんどが死んでてろくに話を聞けませんよ?」
静岡県警から戻った右京とカイトは
その足で腹ごしらえにいつもの花の里へと訪れていた。
右京の前妻である宮部たまきより譲り受けた花の里を
笑顔の絶えない優しさの人柄で店を一人切り盛りする月本幸子。
そんな幸子が提供する食事を
余程お腹を空かしていたのか箸を進めるカイトに対して熱燗一杯嗜む程度の右京。
しかしそんな思いつめた態度を振り払うかのようにカイトへあることを告げた。
「明日、大島に行ってみようかと思います。」
「まさか山村貞子の遺体を引き取った山村敬を尋ねる気ですか?」
「えぇ、今のところ手掛かりはそれしかありませんからね。」
確かに今のところ手掛かりは山村貞子の遺体を引き取った山村敬なる人物しかいない。
しかしまさか呪いのビデオなどというオカルトを真に受けて
伊豆大島まで出向かなければならないとは…
暇な部署の特命係でなければ絶対に出来ないことだなとカイトはつくづく思った。
「なんとか彼女の足取りを掴めれば良いのですが。」
「呪いのビデオの内容…今のとこ判明したのは『井戸』と『貞』の字だけか。
せめてもうひとつくらいわかればな…何でしたっけ『しょーもん』がどーたらこーたら…」
「『しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。』
警察官ならこれくらい一発で覚えておくものですよ。」
「無茶言わないでください。
警察官全員が杉下さんなみの記憶力があるわけじゃないんですから…」
つまらない嫌味を言われて愚痴るカイト。
だがそんな二人の会話に思わず女将の幸子が反応した。
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