146:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 08:50:12.77 ID:EAF0Yir90
「ところで吉野賢三が亡くなった日のことです。
僕は彼が転落したマンションである車を見かけました。
ナンバープレートには[品川 ぬ 23 -38]と記載されたセダンの車です。」
車のナンバーを問われて思わず雛子の頬に冷や汗が零れ落ちた。
以前、右京はとある事件で自分が所有する車のナンバーを照会していた。
恐らくそのことを覚えていたのだろう。
まったく忌々しいほどの記憶力だと嫌味に思う雛子。
だが追求はこれからだった。
「さてここでもうひとつ仮説を立てたいと思います。
吉野賢三は亡くなる直前、ある特ダネを仕入れたと言っていました。」
「もしもこの特ダネとやらが
どなたかにとって世間に暴かれることが不都合だったらどうなるでしょうか?」
「始末する必要があったのではないか?そう思えませんか。」
始末、つまり殺害すること。
しかしそうなるとどうやって殺人を実行するかだが…
殺人ともなれば当然あらゆるリスクが生じる。
当然ながら犯行が警察に暴かれたら実行犯は逮捕される恐れもあるだろうし
さらにそれを指示した人間たちも芋づる式で捕まる恐れもある。
だがそのリスクを避けることが出来たらどうか?
そこで浮かび上がったのが先ほど右京が話した呪いのビデオだ。
もしも呪いのビデオが既に殺人の道具として活用されていたとしたら?
「つまり警部殿は吉野賢三が自殺じゃなくて殺害されたと言いたいんですか?」
「考えられる可能性です。
早津さんの証言では吉野賢三は呪いのビデオを浅川さんの遺品から見つけたと推測した。
しかし考えてみればこれはおかしい。彼女は呪いのビデオの恐ろしさを知っていたはず。
そんな彼女が呪いのビデオをひとつでも遺しておくでしょうか?
それを考えれば吉野さんのマンションにあったビデオは
新たに作られたモノであるという可能性が高いと思われます。」
「けど…呪いのビデオで殺人なんて…」
未だに半信半疑な伊丹たち。
確かにそれなら不可能犯罪と言えるかもしれない。
だが呪いのビデオなどというオカルトをどう信じろというのか?
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