123:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 07:28:05.62 ID:EAF0Yir90
「…けど…うん…まあもういいか。
私も帝都新聞辞めちゃったわけだし右京さんたちに話しても問題ないでしょう。」
「その言動から察するに何か曰くつきの話のようですが…」
「ハイ、私も帝都新聞に勤めていた頃…年配の先輩から聞いた話なんですけどね。
この話…現在でも社内じゃタブーにされている話でして…
その記事に載っている死んだ記者ってのがウチの…帝都新聞の記者なんですよ。」
「帝都新聞の記者?なるほど、仲間の記者が殺された。
だから山村志津子のことをこんなボロクソに叩いた内容を書いたわけですね!」
「いいえ、それだけじゃないの。この記事を書いた人は…死んだ記者の婚約者なのよ。」
「婚約者?つまり亡くなった記者の方とは恋仲だったわけですか。」
話は今から57年も前に遡る。
この記事を書いたのは『宮地彰子』という女記者はある人物を追っていた。
それは彼女の婚約者を殺した人間だ。
当時、警察は彼女の婚約者の死因を事故死と判断して捜査は行われなかった。
だが彼女は婚約者の死は殺人だと周りに言い続けた。
しかしそんな彼女の発言を新聞社の人間は誰も信じようとはしなかった。
そのため彼女は一人でその人物を追っていた。
「けど宮地さんもかなり違法スレスレでその人物を追っていたらしいです。
警察の調書を見たり実験の録音されたテープを手に入れたり…
他の新聞社がその事件を事故の見出しで出したのに
ウチだけ『山村志津子が人を殺した!』なんて
内容を書いたものだから当時のお偉いさんは怒り心頭だったそうですよ。」
「そりゃそうですよね。
一応病死なのに殺人の見出しになんてしたら嘘の記事書いたことになっちゃうし…」
「なるほど、山村志津子の公開実験を調べていたわけですか…
それで宮地彰子さんは現在どうなさっているのですか?
是非ともお会いして彼女からもお話を伺いたいのですがねぇ。」
美和子に現在の宮地彰子の消息を尋ねる右京。
だがそれは不可能だった。何故なら彼女は45年前に失踪したらしい。
45年前、彼女は同僚の記者に事件の真相を暴くと言ったきり帰ってくることはなかった。
そしてこれが帝都新聞において彼女の存在がタブーとして扱われている問題でもあった。
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