117:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 07:24:08.09 ID:EAF0Yir90
「そ…その前にひとつだけ質問させてください。
何で俺なんかと…杉下さんの頭脳なら…
俺なんかいなくたって一人でどうにでもなるじゃないですか!」
カイトは当然の質問をしてみせた。
自分は昨日内村部長に自宅謹慎を言い渡されてからずっと怯えていた。
『残り2日間を大人しく家の中で過ごせ!』というのは…
今のカイトにしてみれば事実上の死刑宣告同然であった。
それにも関わらず自身と同じ境遇である右京は毅然と振る舞い今も堂々とした態度でいる。
それなのに何故自分が必要とされるのか?カイトにはそこがわからなかった。
「キミ、僕が山村貞子の『呪い』を恐れていないと本気で思っていますか?」
そう言うと右京は自分の手の震えを見せた。
カイトは初めて右京の弱い姿を見てしまった。
いつもは敢然と犯罪者の罪を暴く右京が他人に弱みを見せたのは
以前、特命係に在籍していた亀山薫、神戸尊にすら見せなかったはずだからだ。
「恐いのはキミだけではありません。
所詮僕もただの人間ですよ。
死が迫ってしまえばどんなに取り繕っても動揺を隠せませんからねぇ。
だから頼りになる相棒に傍にいてほしいと思っています。」
頼りになる相棒に傍にいてほしい。
そんな右京の頼みを聞いてカイトはほんの少しばかり嬉しかった。
何故なら自分はこの杉下右京に頼られている。
それを思えばなによりも誇らしく思えたからだ。
右京の本音を聞いたカイトにもう迷いは無かった。
そしてカイトは先ほど右京が問いかけた選択の答えを伝えた。
「しょうがないっすね。俺も杉下さんと一緒に捜査しますよ。
俺だって警察官です。山村貞子を野放しにするわけにはいきませんからね!」
「そうですか、ありがとう。
さっそく事件についてですが昨日の内村部長の話で色々と新事実が判明しましたね。」
そんなカイトの決断を軽く受け流す右京。
もう少しリアクションがほしいと呟くカイトだが…
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