4:名無しNIPPER[saga]
2018/03/20(火) 23:38:37.82 ID:ADOWH1/M0
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私の母は、若いころからアイドルが大好きでした。
当時一世を風靡し伝説とまで言われた彼女たちのことを母は心から尊敬し、
彼女たちの歌は今でも全て歌えると自慢げに語っていました。
そんな母の影響で、物心ついたころから私のまわりは懐かしの歌で溢れていました。
その歌たちを心底嬉しそうに、身をゆだねるように聴き入る母の姿をずっと見てきました。
私は隣にチョコンと座って、詞の意味もよく分からないままに一緒になって聴いていただけ。
けれども、そのメロディーはいつまでも色あせないやさしさに包まれていて、
楽しく、悲しく、そして熱く、
まるで耳に口付けをされたときのような、ドキドキとちょっぴりの恥ずかしさを織り混ぜた不思議な気持ちにさせてくれます。
聴くたびにあらゆる感情を引き起こしてくれる歌たちに、
幼い私はあっけなく、その魅力に取り付かれていきました。
母と共に、
いつしか一人で、
そして最後には自ら母に聞かせるまでに、
ずっと歌たちと共に過ごしてきたものです。
そんな思い出が、アイドルを志すようになったきっかけかと聞かれれば、本当のところはよく分からないのです。
でも、かつてTVを華やかに彩っていた名だたるアイドルたち…
舞台の中央に一人佇み、一筋のスポットライトに眩しく照らされ、
他の誰にも出しえないオーラを放つ特別な存在に、近づいてみたいと思ったのです。
伝説とまで言われた彼女たちが、侵しえないたった一つの場所から、どんな風に世界を見ているのか……
その1%でも共感してみたかったのです。
ただ、その思いは幼いころの、ただの漠然とした憧れに過ぎません。
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