65:1[saga]
2018/03/18(日) 23:00:20.17 ID:61wO2nel0
53.
「落ち着いて……大丈夫だよ……」
あずにゃんは激しく呼吸し、ひどく震えていた。私は彼女の居場所を確立させてあげるみたいに頭を撫でてあげる。
「ゆ、ゆい、せんぱい……」
嬉しかった。底知れない嬉しさに襲われていた。あずにゃんを自分の手で掴んであげられた。
考えてみればいつも私はあずにゃんに頼ってばかりで、先輩らしいことをしてあげていなかったと思う。
「あずにゃん、大丈夫だよ。私はずっとここにいるから」
望んでくれるなら私はずっと、あずにゃんの側にいるから。
もちろんお互い、将来だれかと結婚する日が来るだろう。私はあずにゃんに拒絶されない限り、会ってあげよう。週末、予定が合えばショッピングなんてどうだろう。みんなでライブしても面白いかもしれない。お酒でも飲みながら旦那さんの愚痴を聞いたりしてね。
「今は、ずっと甘えててね」
大切な親友? 後輩? どっちでもあり、どっちでもよかった。
『君たちに関わるのはまずいみたいだ、前回を見る限り』
そんな幸せな現実。白い生き物は、夕日の中に消えていった。
あれが持っていた魔法のステッキ。私はそんなものが必要なくなるくらいに、希望を持ち続けられるように、強くなる。
「あずにゃん」
私の魔法で。私の奇跡で。
私は幸せを願う。
本当に心から願えば、
「奇跡も、魔法も、あるんだよ」
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