29:1[saga]
2018/03/18(日) 00:19:09.04 ID:61wO2nel0
前編エピローグ
25. 憂side 2週間後
何事も楽しかった。何事もなく、月日は過ぎていった。
きゅうべえから聞いた話によると、私の力は80%あたりにまできているらしい。実際私にもそれは自覚できている。
魔女狩りは回数を重ねる毎に楽になっているし、サポートをする紬さんの苦労も減っているだろう。
でも私は、だから私は全力を出さない。
余裕がある分、他に余裕を回す。それはほとんど、安全面の心配だ。
例え魔女を取り逃がしたとしても、誰かが怪我をするよりもずっといい。安全に戦うことが、1番大切なことだということくらいは、私にも分かっていた。
最近少しだけ身体の調子がよくない。きゅうべえが適応障害だと言っていたので、放っておけば治るのだろう。
「えーっと、今日はお姉ちゃん、何が食べたいのかな」
『唯は今朝、夕飯はいらないと言っていなかったっけ』
そうだった。今日は梓先輩の家にお泊まりに行くだとか。久しぶりに魔女狩りをお休みできるということで、お姉ちゃんは張り切っていた。
「そう、だったね」
私はスーパーでは何も買わず、適当にコンビニで弁当を買った。
その夜。
『別に今日は現れないよ?』
「いいの。家にいても、寂しいだけだから」
1人で歩く夜道は、ちょっとだけ幻想的で、とても絶望的だった。
「過去って夜みたい」
それは美しくて尊い、下劣な感情だった。
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