6:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/15(木) 19:42:50.27 ID:sZGM97fI0
「人間に見つかったら何をされるか分かりません。 悪いことをした妖精は、信頼しようと決めた一人の人間にだけ事情を話して、
『自分が使っている魔法』を『その人間が使っているように』見せかけました」
「こうして世界に初めて人間の『魔法使い』が生まれたのです」
アズールが指先で空中をつつくと、そこからポッと小さな炎が出た。
「ぅおおっ?!」
「あはは、だーいじょうぶですって、鼻の頭をちょこっと焙っただけじゃないですか」
驚いた声を上げると、彼女はくすくすと笑った。
妖精らしく愛らしい整った顔をしているが、油断ならん奴だ。
「……今のが、ま、魔法か……」
「驚くことないですよ。馴染みがないだけ、見えてないだけで魔法も存在するんですから。今のはホントにちょっとした魔法ですけど」
妖精が目の前で喋っている今、魔法がちょっと出たくらいじゃ驚かない。
ただ鼻が熱かっただけだ。
「さて、魔法使いの始まりはそんなもんですが、重要なのは罪人の妖精が人間に魔法を教えた点です」
「……まさか」
「察しが良い方がパートナーで助かりますよ。『妖精魔法』は一人じゃ使えません」
アズールはくすくすと笑う。
「私は罪人。我らの王は、罪人の人間界への追放を贖罪とし、一方で我々に条件を課しました」
「……俺に、その『魔法使い』のまねごとをしろって?」
「ええ、その通りです」
「罪を犯した妖精は11人。生きて妖精の国に帰られるのは一人だけ。
あなたには『藍色の妖精魔法』を与えるかわりに、私が生き残る手伝いをしていただきます」
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