【オリ】「君は、自分が壊れてしまうほど人を好きになった事があるかい?」
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名無しNIPPER
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2018/03/09(金) 12:14:34.85 ID:uzy05gP60
昼間は授業を聞き流し、放課後の日課を待ち望む。
そんな毎日を過ごす内に、俺の中でそれが日常と化してしまった。
日課という時点で日常ではないかと思われるかもしれないが、それでも初めの内は毎日刺激があった。
慣れとは本当に恐ろしいもので、あんなに昂りを覚えていた道もその頃には見慣れた風景になっていたのだ。
そこまで考えた所で、やはり自分は非日常を求めていたんだ、と思い知った。
以下略
AAS
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名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:15:36.64 ID:uzy05gP60
しかし、そんな事を続けていると、段々と創り出した人物が、俺の想像とは関係なく動き出すようになった。
最初にその事に気付いたのは、自称未来人の俺が現在の俺に語りかけてきた時だった。
彼は、意味深な事を言って俺の前から姿を消した。
最初は、そんな小説を読んで無意識に再現してしまったのかと思った。
しかし、いくら記憶を掘り返しても、彼の台詞は聞き覚えも見覚えも無かった。
以下略
AAS
12
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名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:17:00.22 ID:uzy05gP60
この一件以降俺は、こちらが事細かに想像してやらなくとも、キャラ像さえハッキリしていれば、彼らはある程度自由に動いてくれるのではないか、と考えた。
所詮俺の想像でしかないので、結局は俺の頭の中で処理されるのだが、意識的に「こう動くだろうな」と考えなくて良いのは非常に楽だった。
だから、それからは想像する度にディテールを思い浮かべる事に必死になるよりは、日頃からしっかりとキャラクターを創造することに注力するようになった。
よりリアルな人間像を描くために、学校では他人を観察し、その日の行動を逐一メモしたりもした。
また、人物だけでなく場所の情報もちゃんと仕入れた。
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AAS
13
:
名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:18:05.75 ID:uzy05gP60
世界が広がると言うのは実に楽しいもので、次第に俺の性格も明るくなっていた。
以前は学校に友達と呼べるような存在は居なかったのだが、最近では休憩時間になる度に誰かの所に行って会話を楽しむ程に改善されていた。
相変わらず日課は続けていたので、放課後に友達と遊びに行ったりする事は少かったが、時折、俺の行きつけの本屋が気になるとかで一緒に行ったりもした。
もう一点変わったとすれば、俺にも春が来たのかもしれないと言う事だ。
例の転校生がチラチラと俺の事を見ている時がある。
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AAS
14
:
名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:19:21.63 ID:uzy05gP60
いくら考えてもどうしようもなかったので、最近仲良くなった少しノリが軽めの友達に聞いてみることにした。
唐突に話し始めた所為か、怪訝な顔をされはしたが、「話し掛けるハードルが高いなら、ラブレターでも出してみたら?」と存外まともなアドバイスをくれた。
人を見た目とかイメージだけで判断してはいけないのだな、と考えさせられた。
彼のアドバイス通りに、手紙を書く事にした。と言っても、いきなりラブレターではなく、仲良くなる切っ掛けくらいのイメージだ。
『初めまして、と言うのもおかしな話かも知れませんが、ちゃんとお話しした事はなかったと思うので一応、初めまして。本当ならもっと早くに仲良くなりたかったのですが、転入初日から凄い人気でしたので、中々話しかけられず、気付けば数ヶ月経ってしまいました。もしよければ、これからこんな感じで文通してくれると嬉しいです』
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AAS
15
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名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:19:59.12 ID:uzy05gP60
今日はいつもの日課はお休みにして、そのまま帰ってきた。
明日の彼女の反応がどうか、期待半分不安半分で妄想どころではなかったのだ。
帰宅してから気付いたが、件の手紙に署名を忘れてしまった。
これではストーカーの嫌がらせみたいではないか。
仕方がないので、明日朝一で教室に行って記名することにしよう。
16
:
名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:21:19.16 ID:uzy05gP60
翌日、いつもより30分くらい早く家を出た。
彼女が手紙を見てしまう前に名前を書かなければ、面倒なことになりかねない。最悪ストーカー騒ぎだ。
早朝の教室にはまだ誰も居なかった。
自分の席に鞄を置くと、そそくさと彼女の机へと向かう。
中を調べるが、昨日の手紙が見当たらない。
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AAS
17
:
名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:22:23.53 ID:uzy05gP60
こんな風に困り果てるだけで何も良い案は浮かんでこない。
俺の頭は妄想シチュエーションならポンポン浮かぶのに、こういう時に限って使い物にならない。
その時、泣きっ面に蜂と言うべきか、教室の扉が開かれた。
俺はとっさに寝たふりをしてしまった。
これでは、ずっとこうしているしかない。
以下略
AAS
18
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名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:23:47.17 ID:uzy05gP60
「ねぇ」
まるで俺が人気のないところへ行くのを見計らっていたかのように、誰も居ない廊下で声をかけられた。
「え、あ…」
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AAS
19
:
名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:25:32.52 ID:uzy05gP60
それから俺は、彼女と会う度に挨拶をする様になった。
彼女は恥ずかしいのか、二言三言交わすとそそくさと自席に戻ってしまうが、その初々しい反応もまた可愛らしいと言えた。
また、一週間ほどすると、俺が彼女に話しかける度に、少し教室が騒めく気がした。
そもそもが思春期の男女が集められた部屋で、異性と仲良さげに振る舞うと言うのは嫉妬の対象になってしまうのは仕方がない事だ。
以下略
AAS
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名無しNIPPER
[sage]
2018/03/09(金) 12:26:26.51 ID:uzy05gP60
さっと周囲を警戒する辺り、余程恥ずかしがり屋で、俺との会話を見られたくないのだろう。
そんな彼女を安心させる様に、彼女の肩をポンポンと叩く。
「心配しなくても、誰も居ないよ」
以下略
AAS
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