少年「俺のクラスは亜人だらけ」
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203:亜人好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2018/11/29(木) 16:00:10.88 ID:mAogxCt70
イヅナは本当に馬車よりも早く病院までたどり着いた。俺を抱えて飛ぶオルレアンの速度に合わせていたので、場所さえ知っておけばもっと早くたどり着けただろう。

病院の先生にボンボリを引き渡すとただ待つことしかできなくなった俺たちは後をオルレアンに任せ喫茶店で待つことにした。

少年「助かったよ。イヅナ」

イヅナ「あん? なんでお前が礼を言うんだよ」

少年「オルレアンに代わってかな。にしてもイヅナは本当は悪い奴じゃないんだろ?」

俺がそう指摘するとイヅナはオールバックを逆立たせて否定をしてきた。

だが人を救うために何十キロも走り続ける悪人はない。普通の人でもそうはいない。なら迷わず走ったイヅナは実は善人ということになる。

イヅナ「俺はいい奴なんかじゃねぇよ! 目の前で人が死んだら飯が喉を通らなくなるだろうが」

あくまで自分勝手な理由であり、人助けではないと否定するイヅナ。

でも結局人から感謝されてるのならそれは人助けになるんじゃないだろうか。

少年「なぁ、イズナ」

イズナ「んだよ」

少年「焼きそばの屋台、やりたいのか?」

イヅナ「そりゃあ金が欲しいからな」

なら普通に仕事をすればいいのに。工事現場のアルバイトとか。と思ったが口に出さないでおこう。

少年「ヒョウカさんに頼んで火気使用の許可をもらってくるよ。確約はできないが」

イヅナ「……何が目的だ?」

少年「目的なんてないって。イヅナに人助けをする理由がないのと同じだ」

イヅナ「てめ、喧嘩売ってんのか?」

少年「喧嘩は売ってない。俺じゃあ相手にもならないだろうしな」

少年「それでどうするんだ?」

イヅナ「………………ちっ」

イヅナ「じゃあ……頼むわ」

そうぶっきらぼうに言い放つイヅナの口角はいつもより上がって見えたような気がした。

すぐにそっぽを向かれたので確認はできないが、もしかすると若干距離は縮んだんじゃないだろうか。

荒れたふうな演技をして、その実なり切れないいい奴。

そう、俺はイヅナを評価した。



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