133:亜人好き ◆HQmKQahCZs[sage saga]
2018/11/14(水) 16:18:07.35 ID:s5u9ySEi0
地図に書かれた下手な絵に何とか頭を捻りながら道を作り出していく。明らかにゆがんだ形の校舎を現実の校舎に当てはめ悪戦苦闘すること小一時間、俺は校舎から外れた鬱蒼と生い茂る木々の中にいた。
地図には一本道で書かれているが現実ではどうかわからない。まっすぐな校舎がゆがんでいるのだからまっすぐな線が現実では歪んでいるということも十分考えられる。
希望は地図にある最後の目印、聳え立つ大木だが………
少年「あれか」
確かに目立つ。背の高い木々の中でもなおさら高い大樹。あれを目印にすれば迷うことはないだろう。
が、如何せん距離がある。行って帰ってくる(無事帰って来られるのであればの話ではあるが)と太陽はとうに暮れているだろう。
そんなことになればまたミレイアに罵られ、ユキムラに撃ち抜かれるであろうことは簡単に想像つく。
俺だってやりたくてやってるわけじゃないのにな。
ままならないものだ。
「止まりなさい」
男「!」
声がかかる。一体どこからと見渡す前に俺の首根っこをひやりとした手で掴むやつがいた。
男「がっ、あっ」
あがけどもがけど力は緩まない。両手で首に当てられた手をはがそうと試みるが万力のごとくピクリともしない。さらにその手には硬い鱗が生えており、剥がそうとする際に手を深く切った。
痛いし、苦しい。それは思考能力をたやすく奪っていく。
「見たことない奴だ。それに我々側とも思えない」
「誰だ?」
その返事を聞きたければ手を放せ。なんとかそう言おうと思ってもうめき声と泡しかでない。
どうしようもなくただ苦しさに沈むだけ。まるで水中にいるかのような感覚にどんどんどんどん頭が痺れてくる。
死にはしないだろう、だけれどこの感覚は―――
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