102:亜人好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2018/06/03(日) 21:04:17.11 ID:+E1bRNSR0
学園の中央棟に風紀委員室はある。
大元の職員室やゼミ室などがあるため訪れることはあまりない。といっても売店や学食、さらには温泉があるために来る頻度も多い。
が風紀委員に連れられてくるのは違反者だけだ。ゆえにあまりこの状況で来たい場所ではない。
委員室は整然と片付けられており、掃除も行き届いている。これだけだと委員会の理想的な部屋であるが、それ以外にも違反者を閉じ込めるための檻(使用中)やヒョウカさんによって封印された生徒が保管される保管室などがあるため居心地は良いとは言えない。それに他の風紀委員がなぜか俺を見ているし。
少年「それでヒョウカさん。いったい俺に何の用なんですか?」
聞くとヒョウカさんは困ったように少しだけ眉尻を下げて俺を連れてきた理由を語った。
ヒョウカ「春になると違反者が増えるのはいつものことですが、今回は特に多く………いえ、おそらく同一犯と思われる正体不明の悪戯が多発しており風紀委員はその処理に追われているのです」
そう言ってヒョウカさんはその悪戯と思われる資料を机の上に並べた。目を通すと悪戯は水風船をぶつけるなんて幼稚なものから大人がすっぽり落ちてしまうような落とし穴や植木鉢を落下させるなど一歩間違えば大事故に繋がるようなものまである。一見やる事にはばがありすぎて同一犯のように思えないが目撃者の証言が決まって怪しい人物がいたと断言できるがどんな人物だったのかは思い出せないという共通点があった。
ヒョウカ「犯人が分からない故に対応はいつも事後的なものしかできず、いつ起こるかわからないため我々で警戒態勢を敷いてますがこの事件以外に対応ができず」
少年「できず?」
ヒョウカ「貴方に他の事件を解決してもらおうかと連れてきたのです」
少年「無理です!」
即座に反応した。迷っていればそのまま押し切られるだろうと思ったからだ。
ただの一般人でしかない俺がそんなことできるわけがない。そういうのはもっと別の人が向いているはずだ。
ヒョウカ「そう難しいことではありません。貴方でもできることなので」
少年「なんで俺なんですか。もっと他にもいるでしょう」
ヒョウカ「さっき言った通り、誰の手でもいいから借りたいのです。手は多い方が良いのです」
だからってなぜ俺の手なんだ。誰でもできることと言ったがその出来は人によって差が出る。
俺に向いているわけではないはずだ。ご立派にこなせる気はしない。スラム出身と言ってもそういうことは避けてきたんだから。
ヒョウカ「詳しいことはこの封筒の中を見てください。それでは頼みましたよ」
どうやら俺の意思なく押し切られてしまったようだ。無理やり押し付けられた封筒には氷で封印がしてあった。
風紀委員に逆らって利があるわけじゃないってことは知ってる。
だけどこんなのってあんまりじゃないか?
358Res/264.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20