【バンドリ】氷川日菜「あまざらしなおねーちゃん」
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9:名無しNIPPER[sage]
2018/03/01(木) 08:46:08.47 ID:ueeqel/10
医者「通常、軽い脳震盪ですからそこまで長引くことでもなく、次第になくした記憶も取り戻すでしょうが……」
日菜(言い辛そうに喋っているお医者さんを見て、あたしは泣き出しそうだった)
日菜(この1年の出来事は、きっとおねーちゃんにとって大きすぎるものだったんだ)
日菜(今までのあたしとの問題も解消して、色んな友達に恵まれて、人生を変えるような出来事がいっぱいあったんだ)
日菜(でも、それは小さな積み重ねだからこそのものなんだ)
日菜(いきなり『あなたはロゼリアというバンドで活動していて、みんなと良好な関係を築いているんですよ』なんて言われたって心が受け付けられる訳がない)
日菜(だからきっと、おねーちゃんが元に戻るのは大変なことなんだ)
日菜(それが分かるから、あたしは泣き出しそうなんだ)
日菜(ああ、またあたしはおねーちゃんを傷付けたんだ。そしてまた、きっとたくさん傷付けるんだ)
日菜(それがきっと現実……なんだと思う)
日菜(でも、口にしなかったら、もしかしたら違うかもしれない)
日菜(これはただの現実逃避なのかもしれない)
日菜(でも、そう思わないと、口を閉ざさないと、あたしの心も今にも潰れてしまいそうだった)
日菜「おねーちゃんも……あの時、こんな気持ちだったのかな」
日菜(診療室の窓を叩く雨粒を見て呟く)
日菜(心が潰れた土砂降りの日に縋るものはそれほど多くない)
日菜(おねーちゃんとの距離が縮まった日を、わだかまりが解けた日を思い出す。……そういえばいつかもこんな雨だった)
日菜(そんな秋時雨に傘をさした記憶も、今のおねーちゃんの中には欠片も存在していないんだ)
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