【バンドリ】氷川日菜「あまざらしなおねーちゃん」
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48:名無しNIPPER[sage]
2018/03/01(木) 09:08:29.38 ID:ueeqel/10

2月25日

 どうすればいいのか、ではなく、どうしたいのか。

 それをこの1週間ずっと考えていた。

 相変わらず日菜は毎日私に会いに来た。

 羽沢さんも4回ほど、日菜と共にやってきた。

 それが何のためだったのか、少し考える。

 私のため。それはどちらの私のためなんだろうか。

 ずっと考えていた。ずっと考えていたけれど、分からなかった。

 最後にはどっちでもいいような気がしてきた。

 つまるところ、日菜はずっと私のために行動していたのだ。

 羽沢さんも同じだろう。そう思うようになったのは3日前だった。

 私はどうしたいのだろうか。

 いつまでも部屋に籠ってギターを抱えているわけにもいかない。

 もう学校に行かなくなって20日近く経っていた。日菜もきっと学校を休んで私に付きっきりなんだろう。パステルパレットというバンドの活動も休んでいることだろう。

 そう思うと自分の小ささを強く痛感させられた。

 日菜はこんなにも、私のことを考えてくれていたのだ。

 自分の事情をすべて差し置いて、私を優先していたのだ。

 私はそんな日菜に対して一方的な劣等感を抱き、拒絶していた。常に手を差し伸べてくれていたあの子を見放していたのだった。

 それに気付くと足元が崩れて深い闇の中に落ちていくような感覚がした。なんて自分勝手で矮小な考えで私は生きてきたんだろうか、と。

 けど、そこへだってきっと日菜はやってきて、私の手を引いて、無理矢理にでも光の指す方へ連れ出そうとするだろう。

 あの子はいつだってそうしていたんだから。

 ……だから、全部が自分次第なんだ、と思った。

 私はどうしたいのか。

 これ以上日菜に面倒をかける訳にはいかない。

 羽沢さんだってそうだ。本来、彼女はきっと私の交友関係の1人、というだけのはずだ。いつまでも彼女の優しさに甘える訳にはいかない。

 どうしたいのか。……いや、答えにはとっくに行きついていたはずだ。

 向き合うんだ。自分の知らない自分と、それを知る人たちと。

 怖いけれど、向き合うんだ。勇気がないなら、またギターを奏でればいい。


 近付けば遠くなるカシオピア 今は笑えよ スターライト

 いつか全てが上手くいくなら 涙は通り過ぎる駅だ


 珍しく前向きな歌だ。安っぽい歌だと言う人もいるだろう。

 それでも、そんな歌が私の背中を押してくれる。私が望む未来へと。


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