【バンドリ】氷川日菜「あまざらしなおねーちゃん」
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3:名無しNIPPER[sage]
2018/03/01(木) 08:42:06.45 ID:ueeqel/10
――昇降口――

紗夜「……ますます酷くなってるわね、雨。雷も段々近づいてきているみたいだし……本当になんでこんな日に限って傘を忘れるのかしら」

紗夜「……なんだか秋のころを思い出すわね」

紗夜(……そういえば、あの日もこんな雨だった)

紗夜(七夕以降、日菜とは少しは向き合えるようになって、私たちの関係もいい方へ向かっていた)

紗夜(だけど、あの子のギターを聞いて……私の音はなんてつまらないものなんだろうかと、また劣等感を抱いてしまった)

紗夜(散々悩んで、ロゼリアのみなさんにも迷惑をかけた)

紗夜(あの日も……あまざらしな私の元へ日菜が傘を持ってきてくれた)

紗夜(そうやって常に歩み寄ってくれた日菜を蔑ろにしていたことを思うと、自分が少し情けなくなる)

紗夜(でも、あの時の経験も決して無駄じゃなかった。もしまた日菜とすれ違うようなことがあっても、星に願う短冊を探し回ったこと、秋時雨に傘をさしたこと……この思い出があればきっとすぐに和解できる)

紗夜(……1年前の私からすれば、まさかこんなことを思うことになるとは夢にも思わないでしょうね)

紗夜(これも良いこと……なのかしらね)

日菜「おねーちゃーんっ! お待たせーっ!」

紗夜(感傷に浸る思考を切り裂いて、日菜の大きな声が耳に届く)

紗夜(視線を校門の方へ送ると、傘をさした日菜が大きく手を振ってこちらに小走りで向かってきていた)

紗夜「日菜、あまり走ると転ぶわよ」

日菜「へーきへーき!」

紗夜「…………」

紗夜(確かに日菜の運動神経なら転ばないでしょうけど……走ったおかげで泥水が跳ねて付着したその靴下を、あなたは事前に泥を落とそうともしないで洗濯機に放り込むでしょう)

紗夜(そうすると他の服にも土が付いて大変なのよ……)

紗夜「まったく……しょうがないわね」

紗夜(小さく呟いて、日菜の方へ足を踏み出したその時だった)


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