【バンドリ】氷川日菜「あまざらしなおねーちゃん」
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24:名無しNIPPER[sage]
2018/03/01(木) 08:54:26.51 ID:ueeqel/10
――病院――
日菜(翌日、退院するおねーちゃんを迎えに行く前に、スマートフォンにメッセージが届いた)
日菜(それはおねーちゃんからのもので、ただ一言『つばの広いハットが欲しい』というだけのものだった)
日菜(それに対して色々な言葉を返したかった。『どんな色が良い?』『形は?』『どれくらいの大きさ?』『どうして欲しくなったの?』)
日菜(だけど、きっとおねーちゃんがそれを望んでいないことは分かった)
日菜(だからあたしは、何回も文章を打っては消して、最終的に『うん、分かったよ。病院まで迎えに行くから、その時に持ってくね』とだけ返信した)
日菜(それが正解だったのかは分からなかった。でも、きっとあれこれと尋ねるよりは間違っていないと思った)
日菜「おねーちゃん、きっとこの色なら似合うと思ったよ」
紗夜「……そう」
日菜(病院までたどり着いて、おねーちゃんに淡いブラウンのつば広帽子を手渡すと、おねーちゃんはそれだけ呟いてそそくさと目深に帽子を被るだけだった)
日菜「めずらしーね。おねーちゃんが帽子を欲しがるなんて」
紗夜「そういう……気分だったのよ」
日菜「……そっか」
日菜(おねーちゃんはそう言って帽子をさらに深く被り直した。それ以上踏み込んで来ないで、と言われたような気がした)
日菜「それじゃ、行こっか。……転ばないように気を付けてね」
紗夜「……ええ」
日菜(おねーちゃんは病室で一度もギターを弾いていないみたいだった)
日菜(あたしが持ってきたままの状態で放置されていたギターはあたしが背負っている)
日菜(その影に隠れるようにして、まるで忍び足のような足取りでおねーちゃんは歩いていた)
日菜「おねーちゃん、それ、歩きづらくない?」
紗夜「気にしないで」
日菜「……うん、分かった」
日菜(……人が怖いみたいだし……誰かに会わないで家に着ければいいけど……)
日菜(でも今日は土曜日だし、しかもお昼前の時間だ……誰かに会うかもしれない)
日菜(出来ればロゼリアの誰かなら事情を知ってるしなんとなるんだけど――)
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