71: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/11(日) 23:00:19.92 ID:h206M/Hho
===5.
さて、その確認を取る為にも舞台をP氏のマンションへと戻そう。
時刻はまもなく午後八時。
もはやベッドと同化せんばかりに打ちのめされている彼の鼻が、
室内に広がるスパイシーな香りに反応する。
見よ、匂いを辿ればテーブル上に出来立てほやほや手料理が。
炊飯器から米をよそい、形の崩れた具材たっぷりオムレツを乗せ、海美特製のエビチリソースをかけたなら。
「お待ちどうさまプロデューサー! 美奈子先生直伝の、スペシャルエビチリ天津飯だよっ!」
そう言って海美は美奈子盛りされたお皿をP氏の鼻先に突き出した。
すぐに旨そうな匂いが彼の食欲を刺激する。見た目もそれほど悪くはない。
ピリ辛だって嫌いじゃない。おまけに目の前の少女は銀のスプーンで一口分を掬い取ると。
「あっ、無理に起き上がらなくても大丈夫。私が食べさせてあげるから!
……ふーっ、ふーっ……冷めたかな? はい、あーん!」
立ちのぼる湯気を優しい吐息で吹き飛ばし、照れるP氏に口を開けるよう催促した。
断る理由は無い。むしろ断っても無理やり突っ込まれそうなので断れないと言うべきか。
……氏は、乙女の涙にも弱いのである。
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